クレムリン・メソッドをまとめておく ~その2~

第4の原理:国益とは「金儲け」と「安全の確保」である

金を稼がなくては生きていけないし、覇権を握ることもできない。まずは経済の成長が最重要課題となる。そして、安定した経済活動を行ったり、政治基盤を盤石なものにするには国民の安全の確保が必要である。政治家が目指すものはこの2つである。

交渉相手が違うだけで、外交と内政の目的は同じである。すなわち、外交の目的は金儲けと安全の確保である。

外交において大国が行うのは小国の保護である。また、小国も大国に保護してもらうことを目指す。大国は小国を保護することで味方の数を増やし、小国を支配する。

日本は安全保障条約によってアメリカからの保護を受けている。これがなかったら戦争と無縁ではいられなかったであろう。

またEUもNATOによりアメリカから支配されていると言える。

 

第5の原理:「エネルギー」は「平和」より重要である

エネルギーは生活全てを支える。そのためエネルギーの確保は金儲けや安全の確保につながる。特に戦争のためにはエネルギーが不可欠である。

エネルギーを得るためには戦争も厭わない、という国は確実に存在する。かつての日本もそうだった。

イラクウクライナグルジアリビアといった世界各地で起こる紛争も、エネルギー利権を巡ってのものだったと言える。

ただ、シェール革命によって原油の供給量が増加傾向にあるため、中東の重要度は下がっていくことが予想される。

 

第6の原理:「基軸通貨」を握るものが世界を制す

現在世界の主役ともいえるアメリカは、世界最大の貿易赤字国であり、財政赤字国であり、対外債務国である。

通常であれば、このような状態に陥った国は遅かれ早かれ破綻する。

なぜこの状態を維持できるのか?

1つは、ドルが還流しているためである。

といった要素から、ドルの需要が根強くあるということである。

もちろん長期的にはドルは下がっているし下がっていくだろうが、そのペースは緩やかである。

 もう1つは、ドルが基軸通貨であるためである。

  • アメリカと他国の貿易決済通貨として
  • 他国と他国の貿易決済通貨として
  • 外貨準備として
  • 世界中の民間人が保有している

といった点から、ドルは基軸通貨であると言える。

基軸通貨であることの利点は、通常であれば外貨を借りるなり買うなりして埋め合わせなければならない赤字分を、通貨を発行することで賄えるという点にある。

逆に言えば、アメリカの影響力を下げるには、ドルを基軸通貨の地位から引きずりおろせばよい。こうして作られたのがユーロである。また、プーチンも中東諸国との決済手段ルーブルを使用し始めてた。これが10年ほど前の話である。

しかしながら、その後に起きたリーマンショックによって世界経済は停滞した。この原因の一端はドル体制の崩壊にあると考えられ、ドル離れが自国の経済に大きな打撃を与えるということが明らかになった。

それでも中国は人民元の取引高を増やそうと画策している。