NDC(日本十進分類表)の利用とその覚え方(大まかな傾向)

5/4 少し文言を修正したり、リンクの追加を行いました。

 

私はよく図書館を使う。その時の本の借り方としては、お目当ての本を予約して受け取りに行くか、予め検索してその本の場所を把握し、その書棚に直行する、というケースが多い。

これはかなり「アリの目」的というか、ピンポイントで本を入手する方法である。

このような利用方法は効率よく自分の目的とする本に出会える一方で、自分の見たい本しか目に入らなくなるという短所もある。

これに対して、「鳥の目」のように広い視野での本探しとしては、実際に書棚を歩いてピンとくるものを見つけるという方法がある。私は月に数回しかやらないが、思いもしなかった本を見つけることがあったり、自分の研究分野を捉えなおす良い機会になる。

書棚を巡っていると、本の位置には規則があることが分かる。ある本の近くにはその本に近いジャンルの内容が記された本が配置されているのだ。そして、そのジャンルには対応した番号が付けられている。本にも番号が振られており、書棚にはその番号を持つ本が配置されている。

この配置の基準となる本の分類法(番号の付け方)が、日本十進分類表(NDC, Nippon Decimal Classification)である。

あらゆる本がこの分類表に従って分類されているのだ。

分類記号に「0」から「9」のアラビア数字のみを用い、大まかな分類から細かい分類へと順次10ずつの項目に細分していく「十進分類法」の一つ。たとえば、「文学」は「9xx」→「日本文学」は「91x」→「(日本文学の)小説・物語」は「913」、というように下の桁ほど下位の細かい分類を表現している。日本の図書館において、検索や蔵書管理のための「書誌分類」として、また請求記号として資料を書架に並べる際の「書架分類」として利用されており、排架作業の便宜等のためラベル(通常、背表紙に貼られていることが多い)にも印字される。

日本十進分類法 - Wikipedia

ただ図書館を歩き回るのが本当のランダム刺激であるとすれば、NDCに基づいて本を探すのは制約が付いた中でのランダム刺激ということになるだろう。アリの目でも鳥の目でもない、人の目である。

このエントリの趣旨は、NDCは図書館で本を探すときに便利なので覚えよう、ということである。

 

上の引用でも書かれているように、NDCには3段階の区分がある。すなわち、

  • 類目表(100の位)
  • 綱目表(10の位)
  • 要目表(1の位)

である。私は今のところ綱目表と要目表の一部しか覚えていない。そのためこのエントリでも要目表の一部までを対象とする。全部で1000種類覚えなくてはならないと思うかもしれないが、要目表は被りが多いので実際に覚えるべき数は少ない。また、NDC全体を通した傾向があるので、そちらを理解する方が実際に図書館を渉猟する際には役に立つと思う。

(追記)なお、分類番号の読み方は例えば913なら「きゅういちさん」であり、「きゅうひゃくじゅうさん」という読み方はしないが、ここでは便宜上「~の位」という書き方をしている。

 

まずは類目表の10個を覚えよう。

覚え方をググったところ、札幌市の図書館のサイトで紹介されている方法が一番納得がいったので紹介する。

・人はまず、考える→「100」哲学
・考える材料として過去の出来事が必要→「200」歴史
・歴史の本を作る力がある=国家(政治)の成立→「300」社会科学

・社会の安定により研究が盛んになる→「400」自然科学
・研究によって世の中が便利になる→「500」技術
・技術の発達により産業が盛んになる→「600」産業

・産業の発展で豊かになり芸術に目を向ける→「700」芸術
・産業・芸術の発展で他国との交流が盛んになり言語が必要になる→「800」言語
・言語が盛んになるにつれ、娯楽としての読み物が出来る→「900」文学

上記のどれでもない、あるいはどれをも含む総記→「000」は、このまま覚える。

第3回 分類記号を覚えましょう!(分類よもやまその2)/札幌市の図書館

類目表に限らずNDC全体に言えることとして、

  • 誕生が早い分野ほど(歴史が長い分野ほど)数字が小さい
  • 日本という国に関係の深いものほど数字が小さい

という傾向があると思う。NDCの成立については詳しくないが、順序にはきちんとした理由があるのだろう。

 

次に綱目表である。

 

  • 00 総記
    • 01 図書館、図書館情報学
    • 02 図書、書誌学
    • 03 百科事典、用語索引
    • 04 一般論文集、一般講演集、雑著
    • 05 逐次刊行物、一般年鑑
    • 06 団体、博物館
    • 07 ジャーナリズム、新聞
    • 08 叢書、全集、選集
    • 09 貴重書、郷土資料、その他の特別コレクション
  • 10 哲学
    • 11 哲学各論
    • 12 東洋思想
    • 13 西洋哲学
    • 14 心理学
    • 15 倫理学、道徳
  • 16 宗教
  • 20 歴史、世界史、文化史
  • 29 地理、地誌、紀行
  • 30 社会科学
    • 31 政治
    • 32 法律
    • 33 経済
    • 34 財政
    • 35 統計
    • 36 社会
    • 37 教育
    • 38 風俗習慣、民俗学民族学
    • 39 国防、軍事
  • 40 自然科学
    • 41 数学
    • 42 物理学
    • 43 化学
    • 44 天文学、宇宙科学
    • 45 地球科学、地学
    • 46 生物科学、一般生物学
      • 47 植物学
      • 48 動物学
  • 49 医学、薬学
  • 50 技術、工学
    • 51 建設工学、土木工学
    • 52 建築学
    • 53 機械工学、原子力工学
    • 54 電気工学
    • 55 海洋工学、船舶工学、兵器、軍事工学
    • 56 金属工学、鉱山工学
    • 57 化学工業
    • 58 製造工業
  • 59 家政学、生活科学
  • 60 産業
    • 61 農業
    • 62 園芸、造園
    • 63 蚕糸業
    • 64 畜産業、獣医学
    • 65 林業、狩猟
    • 66 水産業
    • 67 商業
    • 68 運輸、交通、観光事業
    • 69 通信事業
  • 70 芸術、美術
    • 71 彫刻、オブジェ
    • 72 絵画、書、書道
    • 73 版画、印章、篆刻、印譜
    • 74 写真、印刷
    • 75 工芸
    • 76 音楽、舞踊、バレエ
    • 77 演劇、映画、大衆芸能
  • 78 スポーツ、体育
  • 79 諸芸、娯楽
  • 80 言語
    • 81 日本語
    • 82 中国語、その他の東洋の諸言語
    • 83 英語
    • 84 ドイツ語、その他のゲルマン諸語
    • 85 フランス語、プロバンス
    • 86 スペイン語ポルトガル語
    • 87 イタリア語、その他のロマンス諸語
    • 88 ロシア語、その他のスラブ諸語
    • 89 その他の諸言語
  • 90 文学
    • 91 日本文学
    • 92 中国文学、その他の東洋文学
    • 93 英米文学
    • 94 ドイツ文学、その他のゲルマン文学
    • 95 フランス文学プロバンス文学
    • 96 スペイン文学、ポルトガル文学
    • 97 イタリア文学、その他のロマンス文学
    • 98 ロシア・ソビエト文学、その他のスラブ文学
    • 99 その他の諸言語文学

例外はあるものの、全体としては原始的なもの、日本に関わりの深いものほど小さい数字であることがわかるだろう。例えば、

  • 東洋思想(12)は西洋哲学(13)より先
  • 神道(17)、仏教(18)、ユダヤキリスト教(19)の順
  • 歴史はアジア(21・22)→ヨーロッパ(23)→アメリカ(25・26)
  • 社会科学は国家の成立→風俗という順
  • 建設・土木工学(51)は機械工学(53)より先
  • まず農業(61)、そして蚕糸業(63)!
  • 彫刻・オブジェ(71)は音楽・バレエ(76)より先
  • 言語、文学は日中英独仏西伊露の順

などときりがない。

個人的には、天文学(44)が地学(45)や生物学(46)より前に来ていることが興味深いと思う。天文学は今でこそ他の数学・物理・化学・地学・生物学と比べると触れる機会が少なく、影が薄くなっている(私の偏見だろうか)が、天文学が物理や数学に与えた影響を考えれば納得がいく。

また、0番台の総記も面白い。まず図書館や書籍そのもの(01・02)が来て、知的活動に必須である事典(03)、知的活動の結果である論文(04)、論文がまとまった逐次刊行物(05)、それを収集する博物館(06)、成果を世に広めるメディア(07)そして全集(08)と、研究を取り巻く環境が一つの流れになっている。

長くなったので要目表は別のエントリに書く。

armik.hatenablog.jp