8/23の朝日新聞の社説の縮約(29/30)

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法で定められた障害者雇用率を本来は満たしていないにもかかわらず、満たしているとしていたという疑惑について書かれている。

第1段落は嘆きである。この内容は本文を読めば伝わるので縮約には入れない。

第2段落では問題の概要について述べられている。

総務省農林水産省など」はいらないだろう。「複数」というのは重要な情報である。

「過大に算出」と「水増し」は同じ意味なのでタイトルにある「水増し」のみを縮約に入れる。

厚生労働省の」はどこの指針かはあまり問題でないため省略する。

障害者手帳や医師の診断書などによる」も例であるため省く。

第3段落では地方自治体でも似た問題が発覚していることが述べてられいる。一応入れておく。

問題について述べられている文章を読んでいくうえでひとまず気になるのは、次の3点である。

  1. なぜそれを問題と見なすのか
  2. なぜその問題は生じたのか
  3. その問題はどうすれば解決できるのか

これらについてなんとなく意識しながら読んでいく。

ここまで読んだ限りでは、1.に関しては「法律違反の可能性があるため」と答えることができるだろう。

あとは2.と3.について考えていく。

第4段落では筆者の主張が述べられている。これも縮約には必要だろう。

第5段落では雇用率が制定された経緯について述べられている。

2.についてのヒントになるかもしれない。

第6段落では国の機関や自治体は民間企業より高い目標が設定されていることが述べられている。

実現が現実的でない高い目標のために水増しせざるを得なかったのかもしれない。

第7段落では第2段落の内容を具体的に述べている。なぜこの段落がここにあるのかよくわからない。

第6段落で、行政機関は民間企業より高い目標が設定されていると述べられている。昨年の行政機関の平均雇用率は2.3%であることが述べられているが、民間企業については数字が出てこない。

例えば、行政機関の目標が民間企業より極端に高い数字であるならば、「実現が現実的でない高い目標のために水増しせざるを得なかったのかもしれない」という予想の裏付けになるが、出てこない以上判断しようがない。

そう思って読んでいると、逆接の後の「共生社会の理念を軽んじた行為と言うほかない」という部分が筆者の主張であることがわかる。

この「共生社会の理念」は第5段落で示したものだと思われる。

筆者は1.について、法を侵しているというよりも、第5段落の「理念」に反していることが問題であると考えているようだ。

そうなると、第5段落と第7段落の間にある第6段落でも、1.について考えているのであり、2.の原因について考えているわけではないことが伺える。

そのため、原因の一つかと思われた「高い目標」を、筆者は原因として見なしていないと考えられる(実際はともかく)。

第8段落では、なぜ問題が起きたのかと提起しており、民間企業との運用の違いを原因として挙げている。ようやく2.や3.について述べられそうだ。

気になるのは「運用の違いも一因」の「も」である。ここまで読んできて、民間と行政機関で異なるとわかるのは目標くらいである。

「目標に加えて、運用の違いも一因」という解釈でよいのか不安になってくる。

一つには、目標も運用の一部のような気がしてしまうためだ。わざわざ分ける必要はあるのか。

また、目標の違いを原因として見なすなら、先ほども言ったように企業の法定雇用率も示して比較してほしいが、それがない。

どうにももやもやする。

ちなみに、企業の法定雇用率は昨年度までが2.0%であり、今年度からは2.3%となっているらしい。

昨年度の行政機関との差は0.5%である。これを大きいとみるか小さいとみるかは意見が分かれるだろう。

第9段落では運用の違いについて具体的な説明がされる。これは重要な情報だろう。

第10段落では調査姿勢の甘さについて述べられている。これも原因の一つだろう。

第11段落では4月から雇用率が引き上げられたことについて述べられている。比較的新しいため入れておく。

第12段落は総括である。第4段落と同じ内容であるため省略する。

ということを考えながら縮約を作ったのだが、読んでみるとちぐはぐな文章になってしまった。

問題はやはり第5~7段落にあると思う。

これまで縮約を作ってきた経験から考えると、第7段落の「共生社会の理念を軽んじた行為と言うほかない」を第1段落に持ってくるのが朝日新聞的な気がする。

次に、第7段落の冒頭を第2段落に盛り込むか、第3段落に配置すべきだろう。

そして、第3、4段落は今のままとし、第8段落の一行目を第5段落とするのがよい。

ここで「なぜ起きたのか」と提起し、そのあとに第5段落の内容を第6段落とする。

ここで説明すれば第1段落で示された「共生社会の理念」はこの内容だとわかるだろう。

そうすると、第6段落は第7段落に来る。「目標の違い」も原因の一つだと見なせるため、第8段落の2行目の「も」に自然につながる。

なぜこうしなかったのかはわからないが、いきなり「共生社会の理念」といってもわかりにくいため、理念の内容を説明する段落が必要だと判断されたのだと推測する。

次に、文章の構造ではなく内容について感じたことを書く。

筆者が挙げているように、企業は納付金を課せられたり訪問検査もあるのに対し、行政機関にはそういった体制がないというのは不公平な気がする。

社説によれば、厚労省は行政機関の「平均雇用率」が法定雇用率を上回っているとしている。個別の機関については書かれていない。

企業は従業員100人以上ならば法律が適用されるのに対し、行政機関はひとまとめにしているのは抜け目がない。

どこかが異様に高く、異様に低い機関を補っていたりはしないのだろうか。

調べてみると、国の行政機関の中では個人情報保護委員会以外が目標を達成しているそうだ(その数字が怪しいのだが)。

www.mhlw.go.jp

どこかが補っているということはなさそうだ。

最後にこの問題の解決策について素人考えを巡らせてみる。

個人的には、行政機関にもペナルティを課してしまえばいいと感じる。

企業の中には、様々な事情から、障害を持つ方が働きやすい環境を整えることができず、批判を承知で納付金を納める企業もあるはずだ。

行政機関も内情は似たようなものだと想像する。ただ、行政機関は納付金のような制度がない以上、目標を達成できなければ違法ということになってしまう。

法を侵してはならないが、それは不可能であると職員が判断した結果、水増しという事態になってしまったのではないか。

そのため、企業における納付金のようないわば「逃げ道」を用意してやれば、水増しはなくなると思われる。

もっとも、納付金を払うのすら嫌がり、水増しは続くかもしれない。

その納付金は誰のものになるのかということも問題ではある。

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