クレムリン・メソッドをまとめておく ~その4~

第10の原理:戦争とは「情報戦」「経済戦」「実戦」の3つである

すなわち、戦争とは軍同士の衝突によって始まるというのではないということである。

太平洋戦争の開戦は1941年12月8日の真珠湾攻撃とされているが、アメリカが日本を仮想敵国とし、戦略策定を始めたのは1906年1月に桂・ハリマン協定が日本によって破棄されてからであるという。

実戦こそが戦争であるという印象が強いが(私もそうだ)、その前から戦争は始まっていると考えるのがよいということだ。少なくとも各国の首脳はそのつもりらしい。

では、各々の段階で何をするのか?

まず、「情報戦」では、国民を「洗脳」する。すなわち、敵国は悪であり、自国こそが正義であると国民に考えさせることで反論を抑え込む。中国や韓国の報道で、日本側からすれば明らかなウソが見られることがある。これは情報戦だと考えてよい。

次に「経済戦」では、経済制裁を行うことで戦争遂行能力を奪う。

前の原理でも述べたように、国家運営の上で経済は最重要といってよい。経済・エネルギー面での制裁によってその後の実戦で優位に立つのだ。

 

第11の原理:「イデオロギー」は国家が大衆を支配する「道具」に過ぎない

ソ連の崩壊後、旧ソ連のエリートは民主主義に転向した。すなわち、エリートは共産主義を心から信じていたわけではなく、乗っかっていたのにすぎなかったのである。

特定の主義や思想は美しい上に説得力もある。そのためにしばしば大衆の支配のために利用される。逆に、現在の支配体制を正当化するために新たな思想が生み出されることすらある。前提でも述べたように、イデオロギーは事実を隠すことがあるので注意が必要である。