『自己評価の心理学』 第10章 自己評価の応急処置
自己評価は日々の出来事で変わっていく。
私たちは知らず知らずのうちに、自己評価を上げようとしたり、守ろうとしている。
自己評価が脅かされそうなとき、どのような行動を取るか見てみる。
自己評価の主要な防衛機制には次の7つが挙げられるという。例として、定職に就かずに家に閉じこもっている20代の男性の例が紹介されている。
- 回避 失敗するリスクを避ける 例:「面接で落とされるのが嫌だ」と就職活動をしようとしない
- 否認 現実の問題を認めない 例:「最近の若者はみんな家に閉じこもりがちなんだ」と自分の問題を認めない
- 投影 自分が抱いている否定的な感情や観念をほかの人間に押しつける 例:「両親は自分にプレッシャーをかけすぎだ」と自分が持っている罪悪感を両親に押しつける
- 夢想や空想 成功しようと努力するかわりに、成功を夢見る 例:「いつか理想の女性に出会い、相手が自分に夢中になる」と夢見ている
- 合理化 現実の問題は認めるが、そうなった原因については理由をつけて正当化する 例:「興味が持てる仕事がない」と家から出ない理由を説明する
- 補償 劣等感から逃れるために、ほかの分野で一生懸命頑張る 例:コンピュータ関連の雑誌は必ず読み、専門家を気取っている
このような気持ちは非常によくわかるし、日々の生活でこれらを全くしない人はおそらくいないのではないかと思う。
これらは確かに自己評価を守る役には立つが、現実を回避したり、あるいは歪曲している。これらに頼りすぎると、人間的な成長や事態の改善、問題の解決が遅れるだけでなく、精神に異常をきたす可能性があるらしい。
程度の問題だということだ。
次に、自己評価を上げようとする行動について見てみる。
物との関係
- 買い物をする
- 所有する
- 見せびらかす
- 人を羨ましがらせる
生活のなかでのささやかな喜び
- 人のやらないことをやって上達する
- 支配する
- ゲームに強くなる
- ズルをする
人間関係のなかでの操作
- 人の悪口を言う
体面を失わないようにする
- 自己宣伝をする
これらもよく分かる。 物を買うことについては次のコピペ(ことわざ)が思い浮かぶ。
もちろん全てはないが、日々の生活で何気なくしていることは自己評価と結びついている。
これらは自己評価の高低にかかわらず起こっており、決して悪いということではない。
ただ、防衛機制や自己評価を上げようとする行動は短期的には効果があるものの、長期的に見ると本当にその人のためになるとは限らない。
ここで挙げた日々の何気ない行動がそのようなリスクを孕んでいることを知っておいて損はない。
自己評価を本当に良好なものにする方法は第11章に紹介されている。