友達作りにヒトの生態を見る『友だち作りの科学』 その2 良い会話のルール
この記事の続き。
前の記事でも書いたように、共通の趣味があると友人関係を構築しやすい。
まずは共通の趣味を見つけることから始めるとよい。
共通の趣味を見つけるには会話が必要だ。
会話を続ける際に、次のことをするとよいという。
- 情報交換をする(両方が話す)
- 共通の趣味を見つける
- 相手にその人のことを尋ねる
- あなたの質問に自分が回答する
- (共通の趣味に)関連のある情報を共有する
- 追いかけ質問をする(話題を突然変えたりしない)
- なんでもあり(オープン)質問をする
- ユーモアをチェックする
- 適度なアイコンタクトを取る
質問については記事を書いた。また、相手の名前を呼ぶようにするとよいらしい。
相手の名前を呼ぶことのメリットは、話の焦点が話題そのものではなく話し相手に向かうことだ。
例えば初対面の相手(Aさん)と映画について話しているとき、
- 「○○監督の新作は面白いですか」
- 「Aさんは○○監督の新作を見ましたか」
のどちらがより話が弾みやすいだろうか。
相手が○○監督のファンであることがすでに分かっていれば、1番目の質問でもよいだろうが、それが分からない場合は2番目のほうが無難である。
2番目の方は相手が主語になっており、話の焦点が映画そのものではなく相手に向かっている。
1番目の方も「Aさんは○○監督の新作を面白いと思いますか」とすれば相手を主語にできる。節が増えて遠回しになるが、唐突さは薄れる。
この違いは英語で書けばわかりやすくなる。
- Is ○○'s new movie exciting?
- Have you seen ○○'s new movie?
- Do you think ○○'s new movie is exciting?
相手の名前を呼ぶことは、英語でいうと"you"を多く言うことに対応する。
日本語は主語があいまいになりがちであるため、意識して名前を呼ぶ必要がある。
もしかしたらあなたは映画にしか興味がなく、相手と友達になりたいとは思っていないかもしれない。
そういう人と会話をしなければならない場面は多い。
それでも、映画そのものを主語にするよりは相手を主語にする方がよい。
相手を主語にしたとしてもその映画に関する情報を得ることはできるためだ。
相手がその映画について知らなければ、上に示したどの質問をしても答えは「わからない」とか「見てない」だろう。
どちらにしてもその映画は共通の趣味にはなりにくいため、別の話題(その監督の別の作品など)に移るべきだろう。
もし知っていれば、「面白いよ」とか「見た」という答えが返ってくるはずだ。
「見た」と答えた場合、こちらから聞かずとも「面白かった」とか「まあまあだった」などの感想を言ってくるものだ。
言ってこなければその時点で「面白かった?」と聞けばよい。
ユーモアのチェックについては、
- 愛想笑いでないか
- 言った人の奇妙さを笑っていないか(バカにした笑いでないか)
の2点を確認するとよいらしい。
また、アイコンタクトの重要性についても述べられている。
日本ではアメリカほどアイコンタクトは重要ではないだろうが、しないよりはした方がよいだろう。
アイコンタクトをするのが気恥ずかしい場合は、アイコンタクトしようとせずに
- 相手の瞬きの回数を数える
- 相手の鼻を見る
- 相手の眉間を見る
- 相手の首元を見る
とよいと聞いたことがある。
ただ、目を凝視するのは逆効果であるという。
一般的に人々が打ち解けて話している時、彼らは会話の相手と数秒間視線を合わせて、時々外します。 その感覚は、おそらく1時~2秒の短い時間です。 しかし、その視線を外すことによって、会話の相手に、「あなたを襲ったりしませんよ」「安全ですよ」と伝えているのです。(p.76)
次に、会話をする際にしない方がよいことのリストを示す。
- 適切な距離を保つ(1m程度離れる)
- 声の大きさをうまく調節する
- 会話の独り占めはしない(情報「交換」をする)
- 質問攻めにしない(情報「交換」をする)
- 同じ話を繰り返さない(情報「交換」をする)
- 取り締まらない
- 人をからかわない
- 最初は個人的な事に立ち入り過ぎない
いわゆる「デリカシー」を具体的にしたものといえる。気を付けたい。
この本の題名は「友だち作りの科学」だが、友人関係だけでなく一般の人間関係にも十分通じる内容である。
次の記事では、1対1でない集団における会話の方法について書く。
友だち作りの科学―社会性に課題のある思春期・青年期のためのSSTガイドブック
- 作者: エリザベス・A・ローガソン,辻井正次,山田智子
- 出版社/メーカー: 金剛出版
- 発売日: 2017/04/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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友達作りにヒトの生態を見る『友だち作りの科学』
義務教育にしろ高等教育にしろ、学校で教えられたといえるものはそう多くない。
実際、「~は役に立たない」とか「~についてもっと学校で教えるべきだ」と言う人は多い。
そういうことを言い出す人は大抵、学ばなければならないことの必要性にそれまで気づけなかっただけだ。
気づけなかったのは仕方ないため、今からでも自分なりに調べたり勉強したりして(もしくは棚上げして)解決するしかない。
勉強したり、学んだことを実践するのは決して楽ではない。
ただ、その過程で、学生の頃に漠然と抱いていた違和感や疑問が解消することがある。
これが読書や学習の醍醐味の一つだ。
「友達の作り方」というのも、私にとっては学校で教えられなかったものの一つである。
『友だち作りの科学』という本は、周囲が当たり前のように行っているが、(私の場合は)誰もそのやり方を教えてくれなかった「友達の作り方」について記したものである。
先に断っておくと、私は学生の頃に友達を作れなかったわけではないし、今でも友達がいる。
友達は自然に「できていた」ものだった。
なら問題はないではないかと思うかもしれないが、これでは再現性に欠ける。
- 自然にできない場合、どうすればよいのか
- 学生時代に自然に友達ができていたのは全くの偶然なのか、それとも何かしらの条件を知らず知らずのうちに満たしていたのか
「友だち作りの科学」は、これらの疑問についての答えを示してくれた。
この本は、UCLAの"PEERS"と呼ばれるワークショップで開発されたソーシャルスキル(友達づくりをはじめとする人付き合いの方法)の習得方法をまとめたものである。
「ソーシャルスキルはアート(才能に依存しており、教えることができないもの)ではなく科学(ある程度の再現性があり、教えることができるもの)である」という考えに基づいている。
まず押さえておきたいのは、友達関係は選択であることだという。
私たちは、全ての人と友達になる必要はない。また全ての人が私たちと友達になる必要もない。
誰かと友達になりたいという理由だけで、すぐ友達になるということではないし、誰かが私たちと友達になりたいという理由だけで、私たちがそうしなければならないということではない。(p.49)
友達は持てばよいというものではない。持たないという考えもあるだろう。
友人関係には良い友人関係と悪い友人関係があるということだ。
何を良いとするかは人それぞれだろうが、この本では、良い友人関係は次のような特徴を持つとしている。
- 共通の趣味を持つこと
- 思いやり
- 支えること
- お互いを理解すること
- 誠実さと忠誠心
- 正直であることと信頼すること
- 平等であること
- 自己開示する力
- 問題解決(友人間で問題や衝突があっても、それを解決できる)
もちろん上に示したすべての要素を持っていなければ友人関係が成立しないというわけではないし、各要素の程度は友人によって異なる。
「こっちの方がもっと重要だ」とか、「見返りを求める時点で友人とは言えない」と考える人もいるだろう。
ただ、これらの要素が少なくとも重要であることが科学的に明らかになっているらしい。
上の要素は当たり前といえば当たり前だと感じた。ただ、興味深いのはその順番で、1番目に来るのが「共通の趣味を持つこと」だということだ。
たとえ思いやりや誠実さがどんなにあったとしても、共通の趣味がなければ(あってもそれに気づかなければ)、関係が始まりにくいし、続きにくいというのは納得できる。
特に初対面の相手が、思いやりや誠実さを持っているかどうか判断するのは難しい。
私が学生だった頃は、ゲームや部活などが共通の趣味となっていたとわかった。違う部活に所属する友達は皆無だった。
今いる友達も、将来話が合わなくなっていけば、自然と疎遠になっていくのかもしれない。
趣味が合わない人とは友達になりにくいため、付き合う集団の趣味は自分とは合っているのか考える必要がある。合わない場合に撤退するのは何も悪いことではない。
逆に、ある人と友達になりたいと思ったら、その人と共通の趣味を見つけるか、その人の趣味を自分の趣味にすることでその成功率が高まるということだ。
よって、友達を作るうえでまず重要なのは、相手と共通の趣味を見つけるということだといえる。つまり、質問すればよい。
この点で、共通の趣味の見つけ方は雑談の仕方とほぼ同じだと考えられる。それについては以前記事を書いた。
趣味には、「暇なときにやっていること」という意味だけでなく、「何かに対する好き嫌いといった、モノに対する感じ方」という意味もある。
いわゆる「無趣味な人」も、好き嫌いくらいはあるはずだ。
雑談の中で、普段の活動や好き嫌いに関する共通点を見つけていくことがまずは必要になる。
なお、「思いやり」や「支えること」といった要素は初対面では分かりにくいと書いたが、全く分からないわけではない。
初対面における立ち回りや、関係を継続させるための心がけについては別の記事に書く。
友だち作りの科学―社会性に課題のある思春期・青年期のためのSSTガイドブック
- 作者: エリザベス・A・ローガソン,辻井正次,山田智子
- 出版社/メーカー: 金剛出版
- 発売日: 2017/04/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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覚えにくい英単語についての記事を書く その2
英語の学習をしていて出てくる覚えにくい単語についての記事を書き、記憶の定着を図る。
使っているのはリーダーズの第2版とオックスフォード新英英辞典の第2版である。あとは適宜Web辞典を参考にしている。
warden 監督者、理事
wardは「病棟」という意味で覚えていたのだが、「監房」という意味もあるらしい。
そう思えば覚えやすい。
wareと語源は同じ。
gait 歩き方、足並み
gateから来ているらしい。gateには「道」や「通り」、「お決まりのやり方」という意味もある。
wouldn't be seen dead 死んでも嫌だ
直訳すると「死んだところを見られたくない」となる。
deadは強調の意味が込められているらしく、「見られたくない」が中心らしい。
obsequious こびへつらうような
obsceneとは異なる。sequeiousには後に続く、従うという意味を表す。
levity 軽率な行動
lightと同じ「軽い」という語源らしい。
levitateは「浮揚する」という意味。
abomination 嫌悪、嫌悪を起こすもの
ab + humaneで「人外」という語源らしい。
hは消えてしまった。
This is the life! 最高!
人生の良い面を指すときに使う。仕事終わりにビールを飲んだ時などに。
That's life. だと「人生とはこういうもの」という諦めの表現になる。